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立松 功至

導入

立松 功至は、染色とテキスタイル表現を専門とするアーティストです。2004年に京都市立芸術大学を卒業し、2006年に同大学大学院を修了。日本美術展覧会(日展)の会友として、これまで日本各地で多数の個展やグループ展に出品しています。

立松は自身の創作について、「色・形・構成の純粋な楽しさを大切にしている」と語ります。それはまるで、子どもが初めてアートに触れるときのような感覚です。見る人が自由に想像を広げ、ただ純粋に作品を楽しんでほしいという想いが込められています。技巧の巧みさを誇示することを目的とせず、染色という技法ならではの魅力が伝わることを願っています。彼の作品は、色彩・形状・構成というアートの根源的な要素に立脚しています。

もっとも影響を受けた芸術家としてワシリー・カンディンスキーを挙げており、色彩のバランスや構成への感覚は、カンディンスキーの作品から大きな影響を受けていると語っています。

履歴書&SNS

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Atsushi Highlite
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 HIGHLIGHTS 

Pet Sounds(ペット・サウンズ)

二連作、ろうけつ染め、綿布
116 × 160 cm

 

立松功至(Tatematsu Kōji)の絵画は、個人的な記憶とポップカルチャーの大きな舞台が衝突する、イメージ主導の物語として展開する。
『カサブランカ』やフランク・シナトラの世界が、日本のロックやインスタグラムのミームと並んで漂い、そこから生まれるのは〈La Grande Combinazione(大いなる組み合わせ)〉——気配と象徴のメタ・コラージュであり、したたかでありながらもエレガントな印象を与える。
その作品は軽やかさを纏いつつも、その遊び心の奥には、現代の感性そのものの鋭さと痛み——流行性、知性、そしてどこか懐かしさを帯びた響き——が潜んでいる。

立松の絵画は、記憶と喜びが交差する認識の感覚を呼び起こす。
そのリズムは鋭く、意外性に富み、ときにメロドラマのような感傷を伴う。
それはまるでデジャヴのようだ。
一瞬前までテクニカラーの夢の中に浸っていたかと思えば、次の瞬間には子供の頃の部屋に戻り、VHSテープやお菓子の包み紙、名づけようのない感情の混沌に囲まれている。
その出会いは、初めてでありながら、どこか懐かしく既知のもののように感じられる。

立松のスタイルは、エネルギー、自由な精神、文化的遊戯に満ちていながら、感情の精度を失わない。
クールでありながらシニカルではなく、誠実でありながら感傷的ではない。
そこには機知、感情、そして視覚的な符号が豊かに息づいている。
彼はファッションやポップカルチャーの文脈を、まるでその質感の中に生きているかのように自在に扱う。
一枚のキャンバスの中に、映画の名場面の断片、子犬のような瞳のキャラクター、カラオケの歌詞や有名な楽曲の一節が自由に混ざり合い、半ば忘れられた快楽の感覚を呼び戻す——遊び心と郷愁が入り混じった文化的記憶のレミックスである。

そこに現れる〈かわいい〉モチーフやメディアの断片は、独特の共感的感受性をもたらす。
漫画的なキャラクターや手書きのフレーズは、私たちが本能的に親しみを覚えるアバターとして立ち上がる。
それらは理屈を越えて共感と愛着を誘い、より原初的な反応へと触れていく。
これらのイメージは本能のレベルで動き、記憶とケアの感覚に直接語りかける。

立松の作品には、社会的トラウマや政治的傷跡に対する大仰な主張はない。
彼の関心は、世界を正すことではなく、その中に誠実に〈在る〉ことにある。
登場するキャラクターたちは伴侶のように寄り添い、キャンバスは遊び場として広がる。
そこに現れるのはマニフェストではなく、〈雰囲気〉であり、〈調律〉である——
ときにクールで優しい感触に傾き、ときにただ、自らが心地よいと感じるイメージの世界を形づくる喜びへと滲んでいく。

作品

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