高城ちひろ展「夢の中の少女たち」
2020年12月25日ー1月31日
Gallery G-77では、Taki Chihiro展「夢の中の少女たち」を開催します。若くて美しい高城は野心にかられ東京芸術大学絵画科油画専攻卒業の後、フィレンツェアカデミア美術大学で5年間勉強し、去年日本に帰国。高城はディテイル·ニュアンスに非常に神経を注ぎ、夢幻の中のレアリティを感じされる魅惑的でチャーミングな絵画を作成しています。その絵画に注目して、楽しんでいただければ幸いです。
高城ちひろのコンセプト
昨日、体長1メートルくらいの猫に顔をうずめる夢を見た。毛がふわふわと柔らかくて、温かくて、幸せな枕。
わたしは幼い頃から夢をよく覚えている。夢であった出来事か、現実であった出来事か分からなくなる事もある。ほとんどが焦っていたり、怖かったり、苦しい夢だ。朝目が覚めた時の疲労感は、起きている時のそれとは少し違う、どしりとした疲れ。わたしの制作は、そこから始まる。
夢は気が付かなかった自分の欲望や恐怖、見ないふりをしていた部分に気づかせてくれる。そんな「夢」を描く事は、恐怖と闘ったり、気持ちを消化していくための大事な行為だ。絵に登場するのは、大人になる事への不安を抱えた自分の分身。わたしは今日も夢の中で少女になる。
皆様のお越しを心からお待ちしております。
展示作品
うたた寝2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、金箔 15 x 21 cm うたた寝をするとよく金縛りにあう。金縛りは怖くて苦しいけれど、時々あいたい不思議なもの。 | 安心しておやすみ2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、金箔 27.5 x 22 cm 金縛りにあうと感じる人の存在に恋をした。姿は見えないけれど感じる人で、強くて怖くて、でも会いたい人。 | 少女の成長2010 パネルに綿布、ジェッソ地/アクリル絵具、金箔 、油絵具 194 x 112 cm 子供の頃の世界は狭くて、そこで苦しい事があるとこの世の終わりのように感じてしまう。通り過ぎてみると、それがなんて事ないちっちゃな世界だったと気付く。でも、世界が広がった先に待っている世界が幸せなのかは分からない。大人になりたいような、なりたくないような、不安な状態でいつまでも漂っている。 | 受胎告知2010 パネルに和紙、白亜地/油絵具、洋金箔 60.6 x 91cm 聖母マリアが受胎告知を受けた時、彼女は14歳だったそう。自分が何も知らなかった14歳の頃、見ず知らずの人に「あなたは身籠りました」と言われたら、どう感じるだろう。 | 出口のないプール2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、金箔 15 x 21 cm 気持ちよく泳いでいても、出口が見つからないとどんどん息が苦しくなっていく。 | 〜夢日記〜トンネル2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、銀箔 15 x 21 cm 昔から追いかけられる夢を見る。何から逃げているかは分からないけれど、なんとか逃げ切るため、トンネルをいくつも通って異空間に逃げ込む。2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、銀箔 15 x 21 cm 昔から追いかけられる夢を見る。何から逃げているかは分からないけれど、なんとか逃げ切るため、トンネルをいくつも通って異空間に逃げ込む。 |
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風船との戦い2020 木製パネル、和紙、油絵具 72.5 x 60.7 cm 長い戦いの夢。最初は猿の国と戦って、蟹の国とも戦った。スパイに入ったり、複雑な感情になりながら最後の敵は風船だった。質感と形は可愛らしいのに、残酷な風船たち。 | 〜夢日記〜プール2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、金箔 15 x 21 cm 水の夢をよく見る。息ができなくて苦しい事が多いけれど、水は綺麗な水色をしている。 | 〜夢日記〜空間を落ちる2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、金箔 21 x 15 cm 昔は気持ちよく空を泳いでいたけれど、大人になってから空を飛ぶ時は、何かから逃げる時。空間を移動できる箱をいくつも重ねて、逃げ切るために落ちていく。 | 〜夢日記〜 Place for Reborn and Change2020 木製パネル、和紙、ジェッソ地、油絵具、銀箔 21 x 15 cm | 眠れない夜パネルに紙/鉛筆、色鉛筆、水彩ガッシュ、金箔 53 x 80cm 眠れない夜、羊を数えてみる。頭の中で羊たちは一頭ずつ柵を飛び越えながら通り過ぎていく。数が増えてくると羊たちもふざけ出して、回ってみたり踊ってみたりする。それが気になって結局眠れない夜。 | ぞわぞわする夢パネルに紙/鉛筆、色鉛筆、水彩ガッシュ 18 x 18 cm 下着に蜘蛛が貼り付いて、友達に助けを求めた。夢では友達も怖くて触れなかったけれど、絵の中では武器を手に立ち向かってもらった。 |
夏休みの思い出2020 パネルに紙/鉛筆、色鉛筆、水彩ガッシュ、銀箔 80 x 65 cm 夢と現実の間の心地よい時間に、人に指を噛まれた。その瞬間、小学生の頃に鯉に噛まれた出来事を鮮明に思い出した。痛くはないのに、ただただ驚いて泣いてしまった事。 | わたしの天気2020 パネルに紙/鉛筆、色鉛筆、水彩ガッシュ、ガラ ス 15 x 21 cm 世界で自分だけ取り残されたような、自分が一番不幸なような、そんな寂しい気持ちの天気。 | かくれんぼ2019 パネルに紙/鉛筆、色鉛筆、水彩ガッシュ 51,5 x 36,4 cm カッターの刃が窓の外から次々飛んできた。切れて痛いけれど、窓の外を覗きたい気持ちもあって、こっそり顔を出してみる。 |
高城ちひろ, 夢と現実の狭間, 2018, アニメーション
高城ちひろ
わたしは幼い頃から夢をよく覚えている。
夢であった出来事か、現実の出来事か分からなくなる事もある。行った事のない場所に行ったり、空を泳いだり、夢の世界は絵の世界のように自由だ。
中でも恐怖を感じた夢は忘れられない。恐怖や痛みを感じた時、不思議とそこから なる。痛みと快感は表裏一体だと思う。
金縛りが好きだ。
金縛りにあった時に感じる「目に見えない存在」に恋をした。その「人」に会いたくてわざと金縛りにあいやすい格好で眠ったりもした。会うことのない誰かへの想いは、絵に描くことで少しずつ消化できる気がする。
わたしにとって夢の中で過ごす時間は、昼間の生活と同じくらい大事な時間。わたしの心と頭のどこかで生まれた「夢」を描く事で、わたし自身の恥ずかしいところや嫌なところを愛することができる。
高城ちひろ