

川口奈々子
Hide and Seek
2025年10月28日(火)~11月16日(日)
11:00~18:00、月曜定休
川口奈々子の絵画に登場する「少女」は、孤立した存在としてではなく、しばしば森そのものと重なり合う姿で現れます。顔から花や木々が芽吹き、身体は風景と溶け合い、擬態のうちに人と自然の境界を曖昧にしていく。そのイメージは「かくれんぼ」や「カモフラージュ」といった遊びの構造を秘め、隠れることと現れることが同時に織り込まれています。
制作の出発点には、トレーシングペーパーに重ねられたモチーフがあります。リボンや植物、自然の断片が溶け合い、再配置され、透明性や色、形を繊細に操作しながら、二次元の画面は境界をまたぎ、変容の場となっていきます。顔の中に木やリボンが現れ、身体から木々が芽吹き、画面そのものが像とかすかな幻影のあいだを漂う曖昧な場となるのです。
《Hair River 2》(2017)や《paradise tree》(2021)に見られるように、彼女の作品は明晰さと溶解のあいだにある微妙な均衡を探り続けます。森は決して背景にとどまらず、人と環境、現実と夢を行き来させる装置として働きます。そして、覆い隠されたものは必ず再び顔をのぞかせる――その瞬間、世界の狭間に揺らぐ儚い存在の遊戯が、私たちの目の前に広がっていくのです。
展示作品


ビュー
川口奈々子

2002年 京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業
2003年 Royal college of Art コミュニケーションアートアンドデザイン交換留学
2005年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画 修了
2012年 Middlesex University (イギリス·ロンドン) MA Fine Art 入学
2013年 Middlesex University (イギリス·ロンドン) MA Fine Art 修了
2014年~2022年 KOBE STUDIO Y3 スタジオアーティスト
2016年 See Saw Seeds プロジェクト参加 フィンランド トゥルク滞在制作
2019年 See Saw Seeds プロジェクト参加 ドイツ ブレーメン 滞在制作
個展
2025年 「どこへ行くかは内緒」studio J (大阪)
2021年 「徒然ドローイング」名古屋三越栄店 ARTE CASA(愛知)
「prev / next」KOBE STUDIO Y3(兵庫)
2020年 「ドローイング·マニア」 studio J (大阪)
2018年 「アガタのスカート」 studio J (大阪)
「川口奈々子展」Oギャラリーeyes (大阪)
2017年 「inner forest」KOBE STUDIO Y3(兵庫)
2009年 「 7人の小人はまだ来ない」Yuka Sasahara Gallery(東京)
2007年 「Melting point」Yuka Sasahara Gallery(東京)
2006年 「流路のペインティング」INAX GALLERY 2(東京)
2005年 「川口奈々子展」Oギャラリーeyes (大阪)
主なグループ展
2023年 「オマージュTAKARAZUKA-春プリマヴェーラ」宝塚芸術文化センター(兵庫)
2022年 「それは、たぶん、わたし。」azumagaoka articulation (神奈川)
「Infectious World」GalleryG-77(京都)
2021年 「Art Fair The Terminal」The Terminal Kyoto(京都)
2019年 「星の王子さまへ」KOBE STUDIO Y3 (大阪)
「enjoy misunderstanding」Gallery Herold (ドイツ·ブレーメン)
2018年 「reJuvenation」studio J(大阪)
2016年 「NEGA/POSI」 B Gallery (フィンランド·トゥルク)
2014年 「12の窓」 KOBE STUDIO Y3(兵庫)
2013年 「Jerwood Drawing prize」 入選 Jerwood visual arts(ロンドン)
2011年 「アーツチャレンジ2011」 愛知芸術文化センター(愛知県)
2010年 「FLATLAND絵画の力」 ギャラリー@KCUA(京都)
2008年 「VOCA展2008」 上野の森美術館(東京)
2007年 「ヘイリ·アジア青年作家プロジェクト」ヘイリ芸術村(韓国)
2005年 「第1回倉敷現代アートビエンナーレ西日本」倉敷市立美術館(岡山)
賞歴 京都市立芸術大学制作展·大学院市長賞、第1回倉敷現代ビエンナーレ·グランプリ、
第20回ホルベイン·スカラシップ奨学生
パブリックコレクション Middlesex University、京都市立芸術大学、倉敷文化振興財団

































