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ピーター・デラート

自然発生する抽象 2014–2025

2025年11月18日(火)~30日(日)
11:00~18:00、月曜定休

ピーター・デラートは、このシリーズの作品を色鉛筆とペンを用いて制作している。彼の周囲の風景、感情、そしてインスピレーションを視覚的な記録として描き出したものである。これらの作品の多くは旅の途中、故郷から離れた土地で生まれ、自然や田園の環境の中で制作されている。川や湖、海や浜辺、山々、昼夜の空、そして彼の目に映る植物や昆虫、動物たちがその源となっている。

制作の際、デラートはしばしば音楽を聴きながら作業を進める。言葉のない古いジャズや新しいジャズを繰り返し聴くことが多く、時には同じCDを何度も再生しながら描く。彼はケープコッド(マサチューセッツ州)、ディグビーネック(ノバスコシア州)、セントクロイ島の浜辺、そして日本の嵐山や直島など、馴染みの場所を頻繁に訪れる。これらの土地は、彼の作品における視覚的語彙を形成する重要な要素となっている。デラート自身は風景画家とは考えていないが、これらの小作品はその時々に彼を取り巻く風景、海景、あるいは月景を反映し、解釈するものとなっている。作品群は、旅の記録であり、日記であり、ドキュメンタリーであり、そして即興でもある。

デラートの影響源は明確でありながら、長年にわたる美術館訪問、モノグラフの熟読、そして作品を丹念に観察することを通じて深化し、確立されてきた。彼の視覚的思考に影響を与えた作家には、カンディンスキー、クレー、ミロ、マレーヴィチ、ゴーキー、ディーベンクォーン、アルプ、フランケンターラー、エヴァ・ヘッセ、ジュリー・メヘルトゥなど、画家や彫刻家を含む多くの芸術家たちがいる。

すべての作品は、かつて家具制作の最終研磨工程で使用していた粒度320番のサンドペーパーの上に始まる。家具制作の頃、彼はテクスチャのある木材の表面に複数の色を重ね塗りし、その後研磨して下層の色を浮かび上がらせていた。初期の段階では、彼はこのサンドペーパーをレディメイドとして展示したが、やがて自身の色鉛筆やインクを加え、もともとの線や質感を発展させていった。時間とともに手法はより大胆になり、重ねられた模様やデザイン、色彩が素材そのもののテクスチャと融合するようになった。

各作品は、まず「正しい」サブストレート、つまりキャンバスとして使用するサンドペーパーの選定から始まる。その選択は最終的な仕上がりに大きな影響を与え、その時の作家の気分や意図によって導かれる。こうして完成する一枚一枚の作品は、その日、その時、その場所におけるデラートの体験を視覚的に切り取ったものとなる。シリーズ全体として見ると、彼の旅と観察を綴る継続的な芸術的日誌として機能している。

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ピーター・デラート

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作家の制作は、自然界に存在する形や素材に内在する、あるいは隠された情報との関わりをテーマとしている。彼の作品は、物質そのものに備わる要素と、作家の介入によって明らかになる要素との対話を探求している。これまで主に、親しみのある生物的な形態を拡大や変形、あるいは極限まで単純化した彫刻作品を通じて、馴染みのある構造の中に潜む未知の物語を探ってきた。これらの形態は一見穏やかで親しみやすいが、細部や縁、開口部、表面などが見えない意味の層を示唆し、鑑賞者に作品の起源や意図、目的について問いを促す。

今回の展示では、作家はその探求を新たな媒体である使用済みのサンドペーパーを用いたドローイングへと展開している。これらの作品では、素材の自然な質感や傷、摩耗の痕跡が能動的な表面として機能している。作家はその痕跡に応答しながら線を重ね、特定の時間や場所の空気を描き出していく。こうして生まれる作品は、素材との出会いを記録するものであり、拾い上げられた物質と作家の身振りとの協働の記録でもある。サンドペーパーと鉛筆はそれぞれが主体性を持ち、作品の形成と意味の生成において対等な役割を果たしている。

このプロセスを通して、作家は平面でありながらも奥行きと緊張感を内包する作品を生み出している。制御と委ね、露わと秘められたもの、その両極の間にある均衡が常に中心に据えられている。素材の生命力と、物質と作家のあいだに生まれる共働的な関係性が、静かでありながらも強く人間の在り方を思索させる作品世界を形成している。

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