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NEWLY AVAILABLE | SELECTED WORKS

水谷勇夫

《獲物 No.5》

1962年
膠絵、紙
73 × 91 cm(額装)

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《獲物 No.5》は、1962年、水谷勇夫の制作活動、そして日本の戦後前衛美術が大きく展開していく時期に制作されました。水谷は1959年から1963年まで読売アンデパンダン展に出品し、この時期、既成の日本画の枠組みにとらわれない独自の表現を追求しました。自らの絵画を「日本画」と呼ぶことを好まず、膠を用いた表現を**「膠絵」**と呼び、絵画のみならず舞台美術やパフォーマンスへと活動領域を広げていきました。

1962年は、水谷の活動が海外へと広がりつつあった時期でもあります。前年の1961年にはカーネギー研究所のピッツバーグ国際美術展に出品し、その後、海外で作品を発表する機会も増えていきました。

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《獲物 No.5》において、身体は一つの完結した人体として描かれてはいません。眼、歯、そして有機的な形態が断片として画面に現れ、荒々しい線と、赤、黒、淡い色彩の重なりのなかから浮かび上がっています。

こうした造形は、水谷が1960年代初頭に展開した作品群と密接に響き合います。筑波大学石井コレクションによる《女 No.6》(1963年)の作品解説では、水谷が画面全体に荒々しい筆触を重ねた後、眼、歯、指などの身体の断片を描き込んでいったことが指摘されています。また、そこには水谷が一貫して向き合った生と死、エロス、人間の生々しい本能への関心が読み取られています。さらに、幾重にも塗り重ねられた赤について、肉や血と結びつくと同時に、呪術的、儀式的な感覚へとつながる色として水谷が強く惹かれていたことが記されています。

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《獲物 No.5》は、1960年代初頭に水谷が繰り返し取り組んだ**「獲物」**というモチーフをめぐる作品群と関連づけて見ることができます。作品資料には「獲物」の語を含む複数の作品が確認され、この主題がこの時期の水谷にとって継続的な探究の対象であったことがうかがえます。

これらと密接に関連する2作品、《獲物の顔》(1963年)と《獲物の顔 No.3》(1964年)は、現在、豊橋市美術博物館に収蔵されています。

3作品を並べることで、「獲物」という主題の展開を3年にわたってたどることができます。

Prey No. 5 — 1962
Artist’s family collection

《獲物 No.5》— 1962年
作家旧蔵、作家遺族所蔵

Face of the Prey — 1963
Toyohashi City Museum of Art and History

《獲物の顔》— 1963年
豊橋市美術博物館蔵

Face of the Prey No. 3 — 1964
Toyohashi City Museum of Art and History

《獲物の顔 No.3》— 1964年
豊橋市美術博物館蔵

これらの作品には、身体の断片を思わせる形態、眼、歯、有機的な構造が繰り返し現れます。作品資料からは構図上の興味深い変化も確認できます。1962年の《獲物 No.5》が横長の画面で構成されているのに対し、1963年に記録された複数の「獲物」作品では縦長の画面が用いられ、断片的な形態がより人体を想起させる構造へと組織されていきます。

「獲物」という言葉の反復と、こうした身体の断片化は、水谷が追究し続けた人間の存在や本能という問題へとつながっています。

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水谷の身体への関心は、絵画の内部だけにとどまりませんでした。1960年7月、東京・第一生命ホールで行われた土方巽の**《DANCE EXPERIENCE》**において、水谷は舞台美術を担当しました。この公演には土方巽、大野一雄、大野慶人らが出演しています。

水谷の活動は絵画、パフォーマンス、舞台美術を横断しており、身体はそれぞれの領域が交差する重要な地点の一つとなっていました。

こうした文脈から見ると、1960年代初頭の絵画に現れる断片化された身体的形態は、単に画面上のイメージとしてだけでなく、水谷が実際の身体やその運動と関わっていた同時期の活動とあわせて捉えることができます。

《獲物 No.5》は、水谷勇夫の家族のもとに受け継がれてきた作品です。作品裏面には、作家自身による**《獲物 No.5》の記載とともに、「イギリス・ロンドン」「モルトン・ギャラリー」「個展」**という書き込みが残されています。

これらの記載は、本作の来歴を示す重要な物的資料であると同時に、水谷の初期の海外での発表活動と本作との関係を示しています。

 

来歴
作家旧蔵
作家遺族に継承

 

出品歴
1963 モルトン・ギャラリー、ロンドン、個展

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