來迦結子 個展  

「SOUL GEMS META」

2022年11月17日(木) - 21日(月)​ 


 

來迦結子の作品シリーズのひとつに「Soul Gems - 魂の宝石 -」(2015年~) というものがある。このシリーズは、魂の存在としての私たちと、宇宙の関係に着目したものである。私たちの魂はひとつひとつが宇宙そのものであり、共鳴・調和してこの大きな宇宙を構成している。これまで來迦は、このシリーズを物理表現 (平面・インスタレーション) で展開してきたが、本展「SOUL GEMS META」では、その世界観をメタバース・VR・NFTを用いて新たに構築する。
今回、來迦は「魂と私たち人類」と「作品の核と表現メディア」の関係性に類似点を見出し、この作品を通じて"進化"という観点から提示を試みる。

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本展において鑑賞者は、メタバース上に創造された「魂の世界」をVRで体験する。
「魂の世界」の定義や解釈は、国や地域、時代や宗教などによって様々であるが、私の実体験に基づく解釈では、「魂の世界」とは即ちあの世であり、私たちが住む物理次元と並行して存在する異次元世界である。魂とは、その次元に存在する私たちの核であり、それは物理次元 (=地球) における人間としての経験 (あるいは別の次元世界の別の存在としての経験) を通じて、成長・進化してゆく。

コロナ禍により、バーチャルギャラリーやメタバースでのアートの展覧会の機会や需要が増加した。コロナ禍のピークが過ぎた現在、それは以前よりも考慮すべきものとして定着しつつある。私はこの現象を、作品発表の場の選択肢だけでなく、コンセプト構築の要素として、あるいはテクニックやマテリアル、メディア等の、アウトプット手段の選択肢に、「次元」が加わったと解釈している。
私はこれまで「Soul Gems - 魂の宝石 -」シリーズにおいて、「魂の世界」という異次元世界の概念を、物理次元に落とし込んで表現してきたが、今回はアウトプットの次元をメタバースとすることにより、物理表現とは異なる側面の表現が可能になる。それは例えば、「魂の世界」を常に物理次元と並行した別次元に存在させることができること。私たちは時間や距離を超えて「魂の世界」の中で出会うことができること。また、「魂の世界」を構成する要素は多数の魂であるが、今回はそれをデジタルエレメント「SOUL GEMS」としてアウトプットする。私は、それらをNFTとしてブロックチェーンの世界に解き放つことにより、魂同士の繋がりや、歴史や進化という、魂のストーリーの表現に近づくことを試みたい。非物理の領域が多次元的に広がることにより、表現の幅も広がる。

コロナ禍と連動するように、近年メタバース・VR・NFTなどの新しいテクノロジーが急激に発展し、それは今後も加速するだろう。3年後にはメディア自体の在り方が変わっているかも知れない。故に私が楽しみなのは、その時どのようにこの作品をアップデートすることになるか。それは同じメディア上のアップデートかも知れないし、別の手法へのトランスファーとなるかも知れない(実際、すでににこの作品は、物理的な手法から今回の手法へとトランスファーされてきている)。表現が変化しても揺るがないのは、この「Soul Gems -魂の宝石-」シリーズの核が、「魂」という普遍的な概念だということ。概念はアウトプットされることで育つというならば、それはまるで魂の成長や進化であり、表現メディアの更新はそれらを体現する変容である。私たち人類も、魂という核を軸にして、年月をかけて肉体を幾度となく替え今ここに居るのだ。私はこのことに作品とアートの未来を感じる。
作品はもはやメディアにとらわれず、時代とそれを取り巻く変化とともに、軽やかに姿を変えていっても良いのではないか。その提示のもとに、「Soul Gems -魂の宝石 -」シリーズは、幾通りもの表現を自身の歴史として刻んでゆくだろう。私がこの世から去り魂の世界へ還った後も、時代を超えて誰かに引き継がれてゆくのが理想的だ。
作品は進化する。変化の波に乗って。私たち人類が、私たちの魂が、そうであるように。

2022年10月 來迦結子