


アンナ・ハヤトとスラヴァ・ピルスキー 『裂け目、繋ぎ目、そして裂け目』
2023年 4月30 ~ 5.14 火~日 12:00~19:00 月 - 休業
アンナ・ハヤトとスラヴァ・ピルスキーの 「裂け目、繋ぎ目、そして裂け目」展では、こ の展覧会のために制作された精緻な作品が展示されます。ほとんどが布にプリントされた 写真で、あるものは断片化され手縫いされ、またあるものは糸の端が流れ落ちるように刺 繍されたものです。縫い合わされ、引き裂かれたイメージの縫い目は、まるで傷ついた身 体のように痛みを伴っているようです。 大判の写真は、2007年に製造中止となった旧式のポラロイドフィルムで撮影されたもので す。薬品はランダムなシミを残し、将来のイメージの崩壊をほのめかし、その跡を残して います。初期のアナログ写真を彷彿とさせながらも、それとは異なる作品です。
今回初めて、二人は金継ぎからインスピレーションを得た縫製作品を展示します。金継ぎ とは、割れた陶器の接合部分を強調し、欠点を隠そうとせず、器の歴史を保存するもので す。また、写真に刺繍やステッチを施すことで、平面と立体の間を行き来するような作品 を制作しています。 ウクライナでの戦闘は、彼らの友人や親戚の生活に直接影響を及ぼしているため、作家た ちは大きな関心を持ってニュースを注視しています。緩やかな刺繍が施された作品から は、緊迫感と傷みが伝わってきます。
キュレーターのスマダー・シェフィ博士は、次のように述べています。「1999年に共同制 作を始めて以来、二人が培ってきた芸術的言語は、写真と絵画の間の継続的な対話を行う ものである。マラットの死』は、フランスの新古典派画家ジャン=ルイ・ダヴィッドの『マ ラットの死』(1793年)に直接言及している。この絵は、フランス革命の指導者の一人で あるマラが自宅のバスタブで殺害される様子を描いたものです。ダヴィッドは、この絵に キリスト教の図像(特に、現在バチカンにあるミケランジェロの「ピエタ」(1499年)に 類似している)を吹き込んだ。ハヤトとピルスキーは、戦いに敗れたかのように降伏した 姿勢で牡丹の花輪を水平に置き、つぎはぎ、継ぎ目、ほつれた糸が、イメージから生じる 絶望のメランコリックな感覚を強めている。」
アンナ・ハヤトとスラヴァ・ピルスキー